2021年7月19日~8月31日までユニクロ銀座店で行われている展示、新・ボーダレスファッション「Guradation(グラデーション)」。
ユニクロが取り組む「UNSTEREOTYPE School(アンステレオタイプ スクール)」プロジェクトの一環として、株式会社ファーストリテイリング サスティナビリティ部と、ファッションやヘアメイクなどの実践スクールであるバンタンの学生が、ステレオタイプを壊した新時代のファッション24パターンを考案し、展示しています。使用しているアイテムはすべて、ユニクロで販売しているもの。
今回の展示に取り組んだ株式会社ファーストリテイリングの澤田さんと、バンタンの学生のみなさん、そして今回の展示でモデルを務めたyutoさんにお話を伺いました。
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株式会社ファーストリテイリング サステナビリティ部 ビジネス・社会課題解決運動チーム
澤田祐宜さん
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バンタンデザイン研究所 WSヘアメイク本科
田中優貴子さん
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バンタンデザイン研究所 ファッションデザイン本科
館直樹さん
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バンタンデザイン研究所 WSヘアメイク本科
髙桒 瑠奈 さん
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「Gradation」展示 モデル / 保育士
yutoさん
ファーストリテイリング×バンタンで挑戦
なぜ今回のプロジェクトが実施されたのでしょうか?
ファーストリテイリング 澤田さん
ファーストリテイリングでは「UNSTEREOTYPE School」として、昨年の夏から様々な次世代教育プログラムを実施してきました。「UNSTEREOTYPE School」とは、“「服」という身近なものを切り口に、一人ひとりが無意識に抱いているさまざまなステレオタイプ(固定概念)に気づき、そこに意識的であることで、誰もが自分自身のありたい未来を描ける世界を共創することを目指す”、をコンセプトとして掲げるプロジェクトです。このプロジェクトの第二弾として、今回の企画に取り組みました。バンタンが独自で展開しているプログラムと、ファーストリテイリングの「UNSTEREOTYPE School」のコンセプトは共鳴するところがあると感じ、両者で取り組むことでお互いにシナジーがあると思いスタートしました。
学生のみなさんはなぜこのプロジェクトに参加しているのですか?
バンタン研究所 田中さん
ファーストリテイリングとバンタンでワークショップをして、ステレオタイプについてディスカッションをしたことがきっかけで、ボーダレスファッションへの関心が高まったんです。ワークショップで、人々はジェンダーや性別、年齢など、それぞれ多種多様な悩みや経験があることがわかりました。さらに、それらは根本的には人々の持つ「ステレオタイプ」による共通の問題であると気づきました。ファッションを選ぶときに、「女だから」「社会人だから」「子供だから」など、ステレオタイプによりファッションの幅を狭めてしまった経験がある人が多いのではないでしょうか?その課題の解決に向けて、ファッションで何かファーストリテイリングと一緒に何か取り組みができないかということで活動してきました。
ステレオタイプを壊す! 24パターンの“新・ボーダレスファッション”
今回の展示の内容を教えてください。
ファーストリテイリング 澤田さん
バンタンの学生さんたちが、ユニクロの商品アイテムから自由に発想し、24パターンの「新・ボーダレスファッション」のスタイルを考案してくれました。それをユニクロ銀座店の店内に、大きく展示しています。お買い物をされるお客様がこの展示を見て、ご自身のファッションの参考にしていただいたり、ファッションのステレオタイプに気づきファッションをより自由に楽しめるきっかけになれば嬉しいです。
今回考案された「新・ボーダレスファッション」のポイントを教えてください。
バンタン研究所 楯さん
まずメンズ、レディース、キッズをミックスしてコーディネートする、ということからはじまりました。最初にコーディネートの参考イメージをたくさん集めて、それをもとにユニクロの商品を当て込んでいきました。男性の方にスカートを履いていただいた際は、いかに自然に着こなせるかを意識してレイアウトしました。ジェンダーレスのポイントとしてパールのネックレスを取り入れたりもしています。
バンタン研究所 髙桒さん
私は、会社になぜスーツで行かなければいけないのかなど、普段から様々なことを疑問に思っていたのですが、身近にいるステレオタイプを持つ方の意見も聞いて、こういう考え方もあるのか!と感じたこともありました。様々な考えを持つ人がいることをお互いに理解しようと努めながら、いろんな人の意見を取り入れて進めるよう心掛けました。
今回コーディネートをする際に、ユニクロの商品について感じたことはありますか?
バンタン研究所 田中さん
ユニクロの服はサイズやカラーなどのバリエーションがたくさんあり、多様なスタイルを生み出しやすいと感じました。レディースの服もサイズ展開が豊富なので背の高い男性でも取り入れやすいですし、自分の好みに合わせてアイテムを選び、形をくずして着ることもできます。自由に様々なスタイルに挑戦できるところが魅力的でした。
モデルのyutoさんは、今回のスタイルをどのように感じましたか?
Gradation」展示モデルyutoさん
今回スカートを初めて履きました。普段レディースのものはよく着たりしていて、スカートを履いてみたいという気持ちはあったのですが、個人的にスカートには抵抗がありました。スカートを履いて街に出るとなると、緊張してしまうのではないかとか、周りの視線が気になってしまっていました。でも、今回実際にスカートを履いてみたら自信を持てたので、普段のファッションにも取り入れたいと思います。
お互いを理解し、ファッションをもっと自由に
この取り組みに対する想いを教えてください。
バンタン研究所 髙桒さん
それぞれがお互いを理解しあえるような展示になればいいなと思っています。そして、ジェンダーレスファッションを実践する方たちが、レジで服を購入する際に躊躇することなく、自信をもって購入できるようになってほしいという願いもあります。
バンタン研究所 田中さん
何か挑戦をするときに、ファッションは手を出しやすいと思うので、この展示を見て「意外とこのアイテム、私も着られるかも!」とか、「ちょっと行ったことのないフロアに行ってみよう!」とか、そういった挑戦の一歩を踏み出していただけたらと思っています。
変化していく人々の価値観に応えたい
サステナビリティ部の取り組みとして、どんな人にどんなことを伝えたいですか?
ファーストリテイリング 澤田さん
お客様の選択を広げ、ユニクロで普段行かなかったフロアに行っていただくなど、より自由な選択をしていただくきっかけになればいいなと思っています。
また、このプロジェクトは私たちファーストリテイリングの社員にとっても、次世代をを生きる学生さんとの関わり、新鮮な価値観を得たり固定概念を学ぶ機会になりました。この機会が、今後変化していくお客様の価値観に応えていくためのきっかけの一つになれたらいいなと思っています。
このプロジェクトはこれまで2回実施され、その中で経験や情報を得てきました。今回、学生とのコラボレーションという新しい形で実施できたので、今後も何らかの形で次世代の方と協業していきたいと思っています。
広がる多様な価値観とそれぞれの夢
学生の皆さんの今後の夢を教えてください。
バンタン研究所 田中さん
いまヘアメイクを学んでいますが、今後いろんな方にヘアメイクをする際、今回のようにステレオタイプを壊すようなメイクなど、様々なシチュエーションに対応できるようになっていきたいと思っています。
バンタン研究所 館さん
私はファッションデザインを勉強しているのですが、ファッションは自分にとって、自分を鼓舞できるものだと思うので、いつか自分のブランドを作って、自分を鼓舞できるということを人々に届けていけたらと思っています。
バンタン研究所 髙桒さん
私はヘアメイクを学んでいますが、今回のプロジェクトでアートディレクターやファッションデザイナーなどいろんな職種の方と関わっていく中で、多職種を理解することがすごく大事だなと感じました。ヘアメイクだけではなく、他の職種の理解も深めて、いろんなことができるようになりたいです。
モデルを務めたyutoさんの夢も教えてください!
「Gradation」展示モデルyutoさん
普段保育士をしているのですが、ファッションが好きでレディースに挑戦してみたり、普段着ないものに挑戦してみたりしているので、誰でも発信できるチャンスがあるSNSで、少しでもでもボーダレスファッションに興味のある人の自信に繋げられるような発信活動をしていけたらと思います。
Editor's note
ー取材後記ー
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長谷川瑞佳
最近では、女性がメンズ服を着ることは多くなりましたが、まだまだ性別によってファッションの選択肢の差は大きいと感じています。今回の展示は、性別や職業、年齢に囚われることなく、ファッションの選択肢を広げるきっかけになっていると思います。実際に展示を見た方が、これまでの固定概念を壊して、ファッションの幅を広げていき、新たな自分や新たな価値観に出会うことができると思います。これは、老若男女から支持を受けているユニクロだからこそ出来ることだと思います。固定概念に囚われることなく、様々な人が様々なスタイルを楽しんでいる社会を期待しながら、自分自身も新たな自分に出会えたらいいなと思います。
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半田鈴奈
若者の間では、自分の好きを表現しやすい時代になってきているのではないかと感じています。その中でも、ファッションは自分や他人から見て、最もわかりやすいものであり、取り入れやすいものであると思います。しかし、それとは裏腹に他人の目を気にしたり、今までの自分の価値観があることで、ボーダレスを難しく感じてしまうのではないかと思います。私自身、父や弟の服を着ることがあり、ボーダレスファッションを楽しんでいる一人であるため、今後も続けていきたいですし、ファッションだけではなく、常日頃から様々な人や物事への理解を深めていきたいと感じました。
関連リンク
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「UNSTEREOTYPE School」公式ページはこちら
https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/youth/unstereotype/ -
バンタン プロジェクト詳細ページはこちら
https://vantan.jp/information/press/detail.php?e_id=7034&year=2020