「見える」をサポートし、地球に愛を

株式会社シード 広報・SDGs推進室 主任

及川 智仁佳さん

2021.7.15

株式会社シードは、国産コンタクトレンズのPureシリーズやサークルレンズのシード Eye coffret 1day UV Mなど、眼に関する様々な商品を製造、販売している会社。シードでは、『「見える」をサポートする』という企業理念のもと、環境・地域・社会といった様々な分野で社会貢献活動をしているそうです。その中でも、ブリスター(使い捨てコンタクトレンズが入っているプラスチックケース)の回収は、コンタクトレンズメーカーならではの取り組みとして注目を集めています。今回は株式会社シード 広報・SDGs推進室の及川さんにお話を伺いました。

  • 株式会社シード 広報・SDGs推進室 主任

    及川 智仁佳(おいかわ・ちにか)さん

コンタクトレンズメーカーならではのSDGs

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貴社のSDGsに関するこれまでの取り組みを教えてください。

シードは環境・地域・社会に調和できる企業を目指し、様々なSDGs活動に取り組んでいます。環境に関しては、使い捨てコンタクトレンズが入っているプラスチックケースである「ブリスター」を回収し、物流パレットにリサイクルする、「BLUE SEED PROJECT」が主軸の活動になっています。また、シード鴻巣研究所(埼玉県鴻巣市)は、環境に配慮した設備を取り入れ、地球保全に積極的に取り組んでいます。さらに、研究所の隣接地には社員はもちろん、一般の方も利用できる児童・保育施設を設置しており、環境問題だけでなく、地域や社会との共生という面でもSDGsに大きく関わっています。

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広報・SDGs推進室ではどんなお仕事をされているんですか?

広報・SDGs推進室では、広報活動に加えて企業として社会との関わり合いを積極的に作っていくことや、社会貢献活動全般に取り組んでいます。具体的には、企業としての理念や想い、活動内容を発信し、社会の声を捉え企業活動の発展につなげることを推進したり、現在行っているCSRプロジェクトに加えて、新たなプロジェクトの企画を行ったりしています。
実は、広報・SDGs推進室は4月に設立したばかりなのです。もともと、社長室という名前だったのですが業務内容のひとつとして、以前からSDGsについての取り組みも行っていました。SDGsの明確な目標に向けて今後さらに力を入れたいと思い、名称を変更することになりました。名称の通り、今後ますますSDGsを推進する活動を広げていく予定です。

注目を集める「BLUE SEED PROJECT」

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「BLUE SEED PROJECT」について詳しく教えてください。

2019年6月から、このプロジェクトを行っています。皆さんはコンタクトレンズをお使いでしょうか?コンタクトレンズのケースである「ブリスター」を日々捨てることに、抵抗感のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?シードでは、通常捨てられてしまう「ブリスター」を他社メーカーのものも含めて回収し、資源としてリサイクルしています。回収ボックスは、眼科やコンタクトレンズ販売店等全国149施設、一般企業8施設に設置しています。回収したブリスターは、ヴェオリア・ジャパンによって購入され、需要が高まっている物流パレット(積み台)に生まれ変わります。

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物流パレットに変えようと思ったのはなぜですか

コンタクトレンズは高度管理医療機器であるため、そのケースであるブリスターは純度の高いプラスチックを使用しています。純度の高いプラスチックは耐久性に優れており、強度を必要とする物流パレットに適しています。それだけでなく、この物流パレットは、破損した場合には溶かして再度物流パレットに生まれ変わらせることができます。
ブリスターはプラスチックなので、プラスチックのスプーンや、シャンプーのボトルなど、様々なものリサイクルすることができます。しかしそれらは、最終的にゴミとして捨てられてしまう可能性が高いです。リサイクルされたものがまたすぐにゴミになるのでは意味がないと考え、ブリスターがゴミにならずに長く使われていくためにはどう再生するのが最適かを模索した結果、物流パレットにリサイクルすることで、無駄が生まれないサーキュラーエコノミーを実現することができました。また、このブリスターのリサイクルによって得た利益は、海の保全団体である「一般社団法人JEAN(ジーン)」に寄付しています。

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実際に私たちがこのブリスター回収に協力したいと思った場合、どうすればよいのでしょうか?

シードホームページにて、お近くの回収施設を検索できますので、そちらにお持ち込みいただければと思います。また、様々な大学と一緒にプロジェクトを進めており、今後大学内の回収所を増やしていき、BLUE SEED PROJECTが皆さんにとってより身近なものになるように活動していきたいです。

すべての人の「見える」をサポート

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他にも、視覚障がいの方をサポートする取り組みもされているそうですね!

はい!「Pureな愛(eye)をありがとうプロジェクト」を展開しています。この活動はシードが社会貢献活動をはじめるきっかけになったもので、2011年7月から開始しました。『「見える」をサポートする』という企業理念のもと、視覚障がいの方々にとっての「見える」である盲導犬に着目し、盲導犬の育成を行う「公益財団法人アイメイト協会」への寄付や、視覚障がい者の社会的自立に関する関心や理解を高めることを目指して活動しております。店舗に設置した募金箱や、コンタクトレンズ商品「Pureシリーズ」の売り上げの一部を寄付しています。

また、イベントを通じた視覚障がいに関する啓発活動も行っています。地域のイベントなどに出向き、子どもたちに向けた盲導犬の体験歩行や、目隠しをした状態でのアクセサリー作り体験などを行っています。またシードでは長年、入社式で新入社員が盲導犬の体験歩行を行っており、社員に向けて、視覚から得られる情報がどれだけ貴重であるかを学び、あらゆる人々の「見える」をサポートすることの重要性を共有してきました。

少しづつ広がる輪

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幅広い活動をされていますが、それぞれSDGsに対してどのくらい貢献しているのでしょうか?

「BLUE SEED PROJECT」が始まってから、徐々に回収するブリスターの数が増えています。これまでに集まったブリスターの量は1,678キロです。想像しづらいと思うのですが、ブリスター1つで1グラム程度なので、回収量から皆さんにたくさんご協力いただいている成果を感じることができています。しかし、実際に流通しているコンタクトレンズの量は年間10トントラック600台分と言われているので、この数値を見ているとまだまだ頑張らなければならないなと感じます。

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「pureな愛をありがとうプロジェクト」に関してはどうですか?

「Pureな愛をありがとうプロジェクト」でも、始めた2011年度の寄付金3,330,090円から2020年度には12,000,000円まで集まるようになりました。その分、盲導犬の育成の支援を広げることができています。

「まだまだ頑張らなければ!」

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シードのSDGs活動における今後の目標は何ですか?

現在注目が高まってきている「BLUE SEED PROJECT」をはじめ、活動の認知度をさらに向上させていきたいです。現在は地域住民の方とイベントで環境や視覚障がいに関する啓発活動を行ったり、近隣の大学と一緒にワークショップを行い、環境についての知識を深めていただくような活動をしています。今後は、「ブリスター」の回収ボックスを大学のキャンパスに置いてもらうなど、若い人たちともっと関わりを広げていけたらと考えています。そのために今は、TwitterやYouTubeなどのSNS発信にも力を入れています。

及川さんの「おしゃれなエコライフ」

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及川さんにとって「おしゃれなエコライフ」とは?

「地球に愛(eye)を向けること」
これは、シードの主軸である『「見える」をサポートする』ことと、SDGsに対する考え方を表します。地球に目を向け、SDGs推進に向けてアクションを起こしていくこと。それが地球に対する愛情でもあると、私たちは考えています。

Editor's note
ー取材後記ー

  • 長谷川瑞佳

    私自身がコンタクトレンズユーザーであり、家庭でもブリスターの回収をしていました。しかし、物流パレットに変わっていたことは知らず、私たちの生活では知ることのない活動もたくさんあると感じました。また、リサイクルするものとして物流パレットを選んだ想いは、私たちの日常生活にも共通することだと感じました。私自身も日々の生活の中でゴミを出さないと言う選択を心がけていきたいと思いました。そして、若者への普及についても、私たちの活動の中で何か協力できればいいなと感じました。

  • 土屋奈々

    普段の生活に欠かせないコンタクトだからこそ、「使って終わり」ではなく、その後どうなっていくのかが地球や環境にとって影響を与えるのだと感じました。私もコンタクトを毎日使っているので、今までどれだけのブリスターを捨ててきてしまったのだろうと思いました。1個でも、2個でもブリスターを回収に出すだけでも環境のためになっていると実感しましたし、コンタクトユーザーである家族や友人にも勧めたい活動だと思いました!

  • 半田鈴奈

    日常的にコンタクトを使用していない私も、「BLUE SEED PROJECT」にとても魅力を感じました。空ケースをリサイクルしていることを知っていれば、周りのコンタクトを使用している人にも教えることができ、回収に協力する人が増えれば、ゴミを減らすことに繋がると思いました。自分に関わることだけではなく、他の人のためになることもふれて、伝えていく大切さを改めて感じました。

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