肌も地球も10年先まで美しく

株式会社コーセー

松本英樹さん

2020.11.25

コーセーのスキンケアブランド「雪肌精」。今年で誕生から35周年を迎え、今まで以上に多くの人に愛されるために、2020年9月、新しく生まれ変わりました。35周年というタイミングでリブランディングした想いとは?また、雪肌精がどのように生まれ変わったのか?株式会社コーセーで雪肌精を担当する松本さんにお話を伺いました。

  • 株式会社コーセー

    松本英樹さん

    コンシューマーブランド事業部
    雪肌精企画課 課長

雪肌精35周年、リブランディング

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雪肌精は、もともとどんな想いで立ち上げたブランドなのでしょうか?

雪肌精は1985年に生まれ、もともと和漢植物エキスという自然からいただいた美容成分でお客様を綺麗にしていきたいという想いのもと生まれたブランドで、自然の恩恵を受けてここまで育ってきました。

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以前から地球を美しくする活動をされていたんですよね。

はい。2009年から「雪肌精 SAVE the BLUE プロジェクト」をスタートしました。自然からいただいた成分を使っている雪肌精として、自然に恩返しをしたいという思いからサンゴの植え付けなどの環境保護活動をしてきました。この11年間で、合計すると25m公認プールで29面分の面積の海底に、サンゴを植えてきたことになります。2018年からは冬に植林の取り組みのキャンペーンも始めたので、現在、雪肌精では毎年夏と冬の2回、SAVE the BLUEとしてキャンペーンを行なっています。サンゴの養殖も植林も、SAVE the BLUEの対象商品の売り上げの一部を寄付することにより実現しています。SAVE the BLUEの対象商品を購入していただくと、商品の底面積分のサンゴや森林が広がっていきます。

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雪肌精をリブランディングしたきっかけを教えてください。

雪肌精がさらにブランドとして成長しより多くの方に愛されるためには、ここで変わらなければいけないと考えました。2年前くらいからリブランディングの構想をスタートし、コンセプトから商品づくりまで練り直しました。
リブランディングの背景には、地球温暖化などの環境問題が深刻化していることや、それに対してSDGsに取り組む企業や個人の方が増えてきたという変化があります。
化粧品市場では、日本だけでなく世界で、「肌に優しい」「余計なものが含まれていない」等ナチュラル、クリーン市場が伸びつつあるというところも背景の一つです。

誕生 雪肌精「クリアウェルネス」

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リブランディングされた雪肌精の新しいコンセプトを教えてください。

新シリーズ「雪肌精 クリアウェルネス」のコンセプトは「Clean & Skin Wellness」です。肌が綺麗で透明感が増すという意味合いと、地球にも肌にも優しく、余計なものが入っていないという意味で「クリーン」。それから、雪肌精が肌そのものを正常な状態に戻して健康的な肌にし、トラブルが起きにくいものにしていくという想いで「ウェルネス」という言葉を選びました。
また、今回改めて雪肌精ブランド全体の「コアバリュー」というものを設定しました。それは、「Gift from the Earth SEKKISEI Clarity」。地球からいただいたものを肌や地球に還元するという考え方です。
そこには3つの要素が大切だと考えていて、1つ目が「Nature science」。地球からいただいた成分をもとに科学の力でお客様の肌のために良いものを作っていくこと。2つ目が「Environmentally friendly」。地球環境を良くしていくというサステナビリティへの取り組みですね。最後に「Modernism japan」。これからグローバル化をさらに進めていきたいという思いもあり、日本発の安全・安心で、且つ効果が高い化粧品という部分を伝えていきたいと考えています。

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商品はどう変わったのでしょうか?

今回、新シリーズには2タイプあり、叶える肌は同じで、うるおいバリアで健やかな透明素肌に導いてくれます。私たちが環境や肌に悪いであろうと考えている成分を取り除く、雪肌精独自のフリー基準を設けています。肌効果は、今まで主成分であったハトムギに加え、「ITOWA(イトワ)」という自然からいただいた日本原産の独自の成分を使って透明感を高めます。ITOWAは肌の潤いバリアの量と質を上げるもので、よりトラブルが起きにくい健康な肌にしてくれます。
青色のボトルの「効能タイプ」にはクラリティブースト成分という透明感を加速化させる成分が含まれています。白いボトルの「フリータイプ」はアルコールや香料を使わず、より肌にやさしく低刺激なものになっているので、お肌が弱い方にもおすすめできるタイプですね。

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ロゴやボトルデザインも大きく変わりましたね。

もともと雪肌精は16の国と地域で販売されているのですが、このリブランディングを機に更にグローバル化していきたいと思い、ロゴも変更しました。
今まで漢字をメインにしていましたが、アルファベットをメインのロゴへと変更しました。最近はSNSなどでも英語での発信も行なっていて、世界に向けて雪肌精を発信できるよう意識しています。
ボトルに関しては、ラベルレスで環境に優しく、そして生活に馴染むデザインを意識しました。

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パッケージもサステナブルを意識したものに生まれ変わったんですよね?

新シリーズのパッケージには、リサイクル率の高いダンボール素材を採用しています。
また、サステナビリティへの取り組みをさらに強化したいと思い、使用後の化粧品容器回収をはじめました。回収ボックスに雪肌精の容器を入れていただくと、それがリサイクルされてまた新しいものに生まれ変わって活用されます。資源回収によって得られるお金を「雪肌精 SAVE the BLUE プロジェクト」で取り組んでいるサンゴの養殖活動に活かしていきます。

雪肌精とSDGs

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「雪肌精 SAVE the BLUE プロジェクト」はこれからも継続していくのでしょうか。

継続していきたいと思っています。今年度は冬のキャンペーンとして12月と1月に対象商品を購入していただいたそのボトルの底面積分の森が広がるというもの、売り上げの金額の一部を寄付して東北の森林で植樹を行なっています。東北の森林保全の活動は今年で3年目になりますね。

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リブランディングした雪肌精は、SDGsにどのように貢献しているのでしょうか?

「雪肌精 SAVE the BLUE プロジェクト」で取り組んでいる「14.海の豊かさを守ろう」と「15.森の豊かさも守ろう」という2つの目標は継続しています。
また、「12.つくる責任つかう責任」については、今回新たに取り入れた目標で、容器の回収、ダンボール製のパッケージなど、商品にもきちんとサステナビリティを取り入れていこうと意識をしています。「5.ジェンダーの平等」についても、まだ男女格差の課題を抱えるタンザニアの女性を支援するために学費の寄付をしたり、中学校を卒業する女子学生に対し、未来への希望をもってもらうために、卒業記念品として化粧品を送るなどの取り組みを行なっています。

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SDGsに取り組む上での課題があれば教えてください。

課題としては、今やっている「雪肌精 SAVE the BLUE プロジェクト」をお客様に浸透させていくことですね。10年以上続けている活動ですが、雪肌精を知っている方でもまだ15%くらいの方にしか、この取り組みが理解されていない状況があるので、これをどうやってお客様にしっかりと知っていただくか、考えて行動していかなければと思います。

松本さんの想い

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長年愛されている雪肌精をリブランディングすることは簡単なことではなかったと思います。

…全部大変でした。(笑)35年間ずっと変わらなかったものを変えるというのは、社内でも賛否両論ありました。どういう方向に変えていくべきかイチから考えて、商品のコンセプト、デザイン、広告、売場など全てを変えたので、社内外の多くの方々にご協力いただきました。色々な方に支えられたことに感謝しています。
リブランディングするとはいえ、35年間で築き上げてきた価値があるので、ポイントは大切にしたいと思っていました。その一つとして、瑠璃色の地球から恩恵をいただいているということで、ブランドのカラーである青を基調とするところは継続しています。コアなものは残しつつ、変えるものは変えるというところを心がけました。

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今、世界は大きな転換期を迎え人々の暮らしも大きく変わっていくと考えられますが、今後、雪肌精や化粧品というものが人々にとってどんな存在でありたいと思いますか?

新型コロナウイルスの環境下でなかなか先行きも見えない中、不安に思っている方も多いのではないかと思います。化粧品は基本的には外見を美しく健康に保っていくために使うものだと思いますが、外見が綺麗になって自信を持つことで、内面的にも強くなって元気付けられたり、勇気を持って行動したり、することがあるのではないかと思います。雪肌精がそういった形で人々や社会に貢献できる存在になれればいいなと思います。

松本さんの「オシャレなエコライフ」

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松本さんにとって「オシャレな暮らし」とは?

環境に優しいものを、さりげなく生活の一部として取り入れるのがオシャレなのではないかと思います。例えば、普段食事に取り入れているものがフェアトレードだったり、着ているものがエコファーやエコレザーだったり、そういうさりげないものだと思います。

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10代〜20代の私たち世代の女性にメッセージをいただけますでしょうか。

若い世代の方がこれから世の中を引っ張っていく存在になると思うので、5年、10年という先を見据えて行動をしてほしいなと思います。サステナビリティの活動も先を見据えた行動ですし、化粧品に関していえば、今は肌トラブルなどが少ないと思いますが、10年先のことを考えれば、今から肌のことをしっかりとみつめて化粧品も選んでもらいたいと思います。雪肌精を通じて「肌も地球も10年先まで美しく」ということを伝えていきたいです。

Editor's note
ー取材後記ー

  • 山田麻由

    「肌も地球も10年先まで美しく」という言葉に心打たれました。雪肌精クリアウェルネスのコンセプトや「雪肌精 SAVE the BLUE プロジェクト」を知ることで、肌を大切にすることが地球を大切にすることに繋がると感じる方がさらに増えると良いなと感じました。また、私たち世代に向けて松本さんからいただいた「5年10年先を見据えた行動をしてほしい」という言葉を自分ごととして捉え、行動していきたいと思いました。

  • 安東凛香

    サステナビリティを取り入れたオシャレな暮らしについて「さりげないもの」と表現されていたのが印象的でした。地球に対して特別なことができなくても、自分の日常中でさりげなく、続けられることから実行することが大切だと感じました。

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