会社と社会を変える 未来の大人たち

株式会社ユーグレナ

Futureサミット

2020.10.9

微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の力で環境や健康に関する事業を展開する、株式会社ユーグレナ。2019年に未来を担う18歳以下のCFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)のポジションを立ち上げ話題となりました。同時にサミットメンバーも募集。CFOとともに「ユーグレナFutureサミット」(以下フューチャーサミット)で活動する18歳以下のメンバーです。業務は「会社と社会を変えるすべて」だというフューチャーサミットの活動はどのようなものなのか。サミットメンバーの出口凜々花さん、西堀琴莉さん、そしてユーグレナ社員の北見裕介さん、石井友理さんにインタビューしました。

  • ユーグレナFutureサミット サミットメンバー

    出口凜々花(でぐち・りりか)さん

    2001年生まれ

  • ユーグレナFutureサミット サミットメンバー

    西堀琴莉(にしぼり・ことり)さん

    2004年生まれ

  • 株式会社ユーグレナ 経営戦略部 経営企画課

    石井友理(いしい・ゆり)さん

  • 株式会社ユーグレナ 経営戦略部 コーポレートコミュニケーション課

    北見裕介(きたみ・ゆうすけ)さん

会社と社会を変えていく ユーグレナFutureサミット

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株式会社ユーグレナはどんな会社なのでしょうか?

北見さん
私たちユーグレナ社は「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーとして掲げ、サステナビリティ(持続可能性)を第一に考えて事業に取り組んでいます。売上や利益以上に、ありたい形としてサステナビリティ・ファーストを第一に考え、微細藻類ユーグレナを通じて環境や健康の課題に取り組んでいます。具体的には、栄養の高いユーグレナによるヘルスケア、ビューティーケアの商品を販売したり、バイオ燃料事業にも取り組んでいます。

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「フューチャーサミット」を立ち上げた理由を教えてください。

石井さん
2019年の夏、環境活動家のグレタさんのような子どもが日本にもいるのではないかと考え、「未来の大人たちに聞いてみた」という動画を制作し、子どもたちに環境問題についてどう考えているのかをインタビューしました。実際に環境問題についてかなり真剣に考えている子どもたちが多く驚かされました。
会社は未来を作っていくものでもあるのにも関わらず、未来の大人となる子どもたちが会社の経営に関わっていないなんておかしいのではないかと考え、CFOを18歳以下で募集しました。今回は環境問題にフォーカスを当て活動してきましたが、会社と社会を変えていくすべてがフューチャーサミットの役割となります。

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サミットメンバーのお二人が、活動に参加しようと思ったきっかけを教えてください。

出口さん
私は高校の教科書にユーグレナ社の創業者の出雲さんが載っていたため、ユーグレナ社を知っていました。友人に「18歳以下でCFO募集」という記事を紹介してもらい、友人と一緒に応募しました。もともと環境問題に興味はあったのですが、アクションを起こすことができなかった私は、ここに入って自分を変えよう、若い世代を引っ張っていく存在になりたいと思い応募しました。

西堀さん
私はもともと学校で動物愛護やがん患者の方を支援するボランティア活動をやっていましたが、ボランティア活動をする中でまだまだ社会への貢献度が足りないと自分の力不足を痛感していました。他に自分が全力で貢献できるものがないかと探していたところ、父がニュースに載っているCFO企画について教えてくれて、これはやるしかないと思い応募しました。自分が参加するだけでなく、自分で企画して物事を動かしていく機会になると思い、フューチャーサミットに参加しました。

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サミットメンバーとして活動する前から社会課題やSDGsに関心があったのですか?

出口さん
私はもともと宇宙に興味があり、中学高校と宇宙の研究をしてきました。研究する中で、宇宙にある生命が確認されている惑星は地球しかないのにも関わらず、そこに住む人間が自分たちを殺すような行為をしていることがおかしいと思いました。宇宙だけに目を向けるのでなく自分たちの唯一の生命の惑星を守るべきではないかと考え、ユーグレナ社のフューチャーサミットに応募しました。

西堀さん
私はフューチャーサミットに入る前は環境問題よりも教育問題と、それに関連する飢餓問題や貧困問題に関心がありました。なぜみんなが教育を充分に受けられないのかを考えたときに、貧困問題や飢餓問題に原因があると考えました。教育はみんなが受ける権利があるものなので、教育、貧困、飢餓に注目し、解決策を考えて応募しました。
その後、実際にサミットメンバーとして活動し、SDGsについて調べたり、メンバーたちと話し合いを重ねるうちに、貧困問題や飢餓問題だけでなく環境問題などにも関心が広がりました

「未来はもう始まっている」

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フューチャーサミットの取り組みについて教えてください。

出口さん
フューチャーサミットでは、2030年に向けたユーグレナ社のSDGsに関するアクションと、達成目標を考えます。毎月1回集まり企画を考えてきました。ユーグレナ社と社会の未来のために何ができるか100個以上のアイデア出しを行い、社員の方とサミットメンバーでディスカッションを重ねてきました。どういう未来を作りたいか、それに対してユーグレナ社ができそうなことを掘り下げて考え、実行しています。実際に会社の承認を得て「プラスチック削減」に取り組みました。

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「プラスチック削減」のためにしたことを教えてください。

西堀さん
商品に使われるプラスチック削減のために「からだにユーグレナ」という食品ブランドの、紙のカートカン商品のストローを取り除きました。完全に取り除くというわけでなくまずは使う・使わないという選択を可能にし、お客様がストローなしで買うことで環境に配慮できるシステムを作りました。

出口さん
プラスチックは有害というイメージがありますが、便利なものであり日常の様々なところにプラスチックが存在しています。そのすべてを批判するのではなく1回しか使わないプラスチック(シングルユースプラスチック)を減らしていかなくてはならないと考え、ストロー有り無しの選択肢やペットボトル商品の廃止を決めました。2020年秋以降にはこれらが実行されます。

西堀さん
2021年中にはユーグレナ社の商品に使用されるプラスチックの量を50%削減することを目標としています。他社では2030年までや2050年などの長期で設定していることが多いですが、私たちは1秒後も1年後も10年後も未来であり、「未来はもう始まっている」と考えています。常に自分たちの未来に責任を持てるように1年間という短いスパンでどれだけ活動できるのかを考え50%削減という目標を掲げました。


石井さん
サミットメンバーからの「プラスチック削減」の提言を実行し、ストローをなくすことで、ストロー付きの紙パックから40%プラスチックを削減できます。また、ペットボトルを紙容器に置き換えることで90%の削減につながります!

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「プラスチック削減」とSDGsの関係性について教えてください。

西堀さん
年間3億トンのプラスチックごみのうち、32%が処理されず海に流れ出ているそうです。プラスチックを使うことはCO2を排出するだけでなく、海洋問題やごみ問題につながっています。


出口さん
メンバーの中にサメが大好きなメンバーがいるのですが、彼は大好きなサメが住む海を汚すのはおかしいと考え、海洋問題に目を向けています。


西堀さん
お客様が商品を買うにあたってプラスチックしかなかったらその商品を選ぶしかないので、それにより環境問題に影響を与えるということは企業の責任です。もともとプラスチックの製品がないという状態であれば環境問題の意識が高い人も低い人も紙容器の商品を選ぶことになるので意識せずとも環境に負荷の低い行動につながるというのが私たちの考えた方針です。

環境問題を通していろいろなことに目を向けられる

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活動を通してSDGsへの考え方はどのように変化しましたか?

出口さん
フューチャーサミットに参加する前は環境問題に詳しくなかったので、環境問題への取り組みをやっている企業はないと思っていました。実際に活動してみるといろんな企業が様々な形で環境問題に取り組んでいることを知り、自分が知らなかっただけなのだと思い知らされました。多くの企業も一生懸命やっていますが、決意表明が「○○したいと思っています」などの表現になっていることがあります。ユーグレナ社は、あいまいな表現ではなく、「○○します」と自信を持ってアピールしているところがいいなと思っています。
様々な企業の環境への取り組みを知った今、自信を持って「環境問題に取り組んでいます」と言っている企業の商品を買ったりサービスを受けたいと思うようになりました。

西堀さん
私も自分が知らないだけで、環境に取り組んでいる企業がたくさんあることを知り、自分が無知であることを思い知らされました。SDGsの項目の中でも「つくる責任、つかう責任」は企業にとっても買い物をする人にとっても大切にすべき項目です。
買い物をするときに環境に配慮しようと思っても、環境に配慮されている商品がなかったりすると、買い物する人が「つかう責任」を果たすことができないですよね。フューチャーサミットに参加して「つくる」側にまわってみて、環境問題に配慮した商品がきちんと世の中にあって、それを選ぶことができる社会にしたいと思うようになりました。プラ削減はその第一歩であり、これからは自分が「つくる責任」をもって、より多くの人が「つかう責任」を自分たちで果たせる社会を作っていきたいと考えています。

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同世代の人に伝えたいことはありますか?

西堀さん
私の学校では、全ての科目で最終的には世界の問題につなげて考え解決策を自分なりに考えだす、ということをしています。ですが、知識や関心があって活動したいと考えている人でも、なかなかアクションを起こすのは難しいと思います。フューチャーサミットなど環境問題に取り組める機会ができたときに飛びこんでいけるように、常に知識を深め行動したいという欲求を持ちながら自分から機会を探しに行くべきだと思っています。知識・やる気がいくらあっても行動に移さなければ何も変わらないと痛感したため、同世代の若い人たちにも積極的に行動してほしいですね。

出口さん
私たちフューチャーサミットは自主的に、ペットボトルなどのシングルユースプラスチックを使わないということを決まりごととしています。ユーグレナ社に来るときはお昼をまたぐことが多いので、お昼ご飯はノープラスチックを意識しています。
そのためコンビニのお弁当を買わずに紙で包んだものを購入していました。ノープラスチックを意識すると、このお店すごくプラスチック使っているなという風に見えてくるので意識してみてほしいです。私がこのようにノープラスチックを意識していると自然と周りの人たちも意識するようになってきたように感じます。

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Q フューチャーサミットの活動はとても斬新だと思いますが、世の中からの反応はいかがですか?またユーグレナ社の活動にどう活きていますか?

石井さん
未来に向けた活動であるSDGsを考える上で、未来を生きる当事者であるCFOやサミットメンバーから等身大の意見をもらえて、会社が今やるべき事は何かを気づかせてくれるためユーグレナ社の活動にとても活きています。プラスチック削減についてもペットボトル商品をやめることで売り上げが落ちるのではないかという不安もあり、なかなか踏み切ることができていませんでしたが、3月の取締役会でCFOとサミットメンバーが提言してくれたことで一歩踏み出すことができました。


北見さん
取材の声掛けが多く、CFOを発表した瞬間から注目されました。他の企業の方からも良い制度だねと言っていただいています。この制度はユーグレナ社独自のものにしておく必要はないと考えていて、多くの企業に取り入れてもらいたいなと思っています。

フューチャーサミットメンバーのオシャレなエコライフ 

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フューチャーサミットの活動で得られたことは何でしょうか?また今後にどう活かそうと思っていますか?

西堀さん
フューチャーサミットの仲間ができたこと、人前で話すという経験ができたこと、そして何よりも環境問題に目を向けられたことが最大の得られたものです。今は高校1年生で進路は具体的に決めていませんが、これからも環境問題について活動していきたいと思っています。また、もともと興味があった教育問題についても活動していきたいです。

出口さん
サミットメンバーになったことで環境問題以外にももっと他のさまざまなことに興味が湧いてきました。私が宇宙一筋だったように、教育問題に興味があるメンバーやバイオに興味のあるメンバー、サメが好きなメンバーなど、いろんな人がいます。自分の軸がありつつ環境問題を解決しようと頑張っている個性豊かな仲間ができてよかったなと思います。また、今まで学校では指名されたときだけ発言していましたが、フューチャーサミットの経験から自分から意見を言うことができるようになり、積極的な性格になれました。
私に宇宙以外の選択肢を与えてくれたフューチャーサミット。参加してよかったなと思います。進路については現在通っている大学が自分の好きなことを学べる環境なので、自分の興味があることを深堀りしていきたいです!もちろん環境への意識を忘れずに!

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サミットメンバーのお二人にとってオシャレなエコライフとは?

「自分の生活を楽しみながら無意識に地球を考えられること」
マイボトルを持ち歩いたりエコバックを使ったりということを自然とできるのはおしゃれでかっこいい!みんなが自分の生活を楽しみつづけられる未来にするために、自分ができることを楽しみながら実行していきたいですね!

Editor's note
ー取材後記ー

  • 安藤美詞

    自分よりも若いサミットメンバーのお二人が積極的に環境問題に取り組んでいることを知り感動し、この取材を通して日々の生活で環境問題を意識していきたいと思いました。積極的に環境問題に取り組み、これからの未来をより良いものにできるように頑張りたいと思います!

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