日本の暮らしにオーガニックコットンを

2020.8.13

「毎日これがないと始まらない/終わらない」ブランドを目指してものづくりを追求し、環境にも使う人にも優しく寄り添うオーガニックコットンブランド「PRISTINE(プリスティン)」。
日本にまだオーガニックコットンという概念がなかった頃にオーガニックコットンに出会った渡邊智恵子さんは、オーガニックコットンを通じて環境問題を知り、メイドインジャパン、無染色にこだわったオーガニックコットン商品を日本に広めることを始めました。
今回は、プリスティンを手掛ける株式会社アバンティ 渡邊智恵子さんの素敵な笑顔から語られる、情熱にあふれたキャリア・ライフスタイルインタビューをお届けします。

  • 株式会社アバンティ代表取締役会長

    渡邊智恵子さん

    1985年株式会社アバンティを設立。日本でのオーガニックコットンの製品製造のパイオニア。企業活動以外に、オーガニックコットンの啓蒙普及と認証機関としてのNPO日本オーガニックコットン協会を設立。グローバルスタンダードの基準作りにも関わる。
    その後、2016年一般財団法人森から海へ設立、代表理事就任。2017年一般財団法人22世紀に残すもの 発起人として活動を始める等各分野でも活動している。

オーガニックコットンとの出会い

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オーガニックコットンのお店を開くことになったきっかけを教えてください。

貿易会社に勤めていたときに、日本在住のイギリス人ナチュラリストの方から「ベビー用品を作りたいからアメリカからオーガニックコットンを輸入してほしい」という依頼をいただいたのがきっかけです。だから私はもともとナチュラリストだったわけではなくて、環境に対する意識が高いから事業を始めたわけではないの。お仕事の一つとしてオーガニックコットンと関わって調べるうちに、普段自分が着ているものがいかに環境にダメージを与えているかを知って驚いて、オーガニックコットンなら環境へのダメージを軽減させるし、気持ちよくお仕事ができると思うようになったんです。

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当時、オーガニックコットンは日本にまだなかったんですよね?

会社を立ち上げた1990年頃は、日本にはまだ「オーガニックコットン」という概念はありませんでした。オーガニックという考え方自体が一般的ではなかったので、その魅力をアパレル業界の人たちに説明するところからはじまりました。はじめは生地を販売する事業を考えていたのだけど、いろんな素材展に出展するために洋服などのサンプルを作っていくうちに、オーガニックコットンで製品を作るアパレルブランドに発展していきました。

プリスティンの取り組み

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改めてオーガニックコットンとは何でしょうか?正直よくわかっていません…!

オーガニックコットンは、3年以上農薬や化学肥料を使わないで栽培された綿のことを言います。農場では、土壌の肥料には牛糞やたい肥などの有機肥料を使って、テントウムシに害虫を駆除してもらうの。枯葉剤を撒くのではなく、葉が自然に枯れるのを待ってから収穫するなど、化学を使わない地球にやさしい取り組みがされています。

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プリスティンの製品はどのように作られているんでしょうか?

一般的に服を作るときには、生地の元々の色を落としてから綺麗に染めることが多いんですよ。そのために漂白剤や色を定着させる定着剤、セーターなど繊維が縮まないようにする防縮剤などの化学薬品が使われているんです。
でも、プリスティンの製品では化学薬品を一切使っていません。一つの製品にいろんな色を染色すれば、カラーバリエーションが増えて商品の数も増えるけれど、化学薬品が環境に悪いから、そして化学薬品を使うことで大量の水を消費してしまうから、プリスティンでは環境にやさしい製品づくりにこだわっています。

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製品はどこで作られているのでしょうか?

生地の材料となる綿は海外産の物ですが、綿から生地を作り製品にするまでの工程は、すべて日本で取り組んでいます。これは製品の輸送からでる大量の二酸化炭素をなくすためです。

また、顔の見える職人たちによる日本の高い技術を使うことで製品の価値を高めています。コストが高くても、良いものを求めることで、作り手を大切にしています。皆さんに知ってもらいたいのは、「安いものには訳がある」ということ。中には海外の工場で小さな子供たちが働かされていることもあるんですよ。
生地1枚を作るのに、作り手が多くの手間やお金をかけて作っていることを知っているからこそ、作り手の方々にはその分しっかりと対価をお渡ししたいと思うし、作り手の方を大切にして、はじめてお客さまに喜んでいただけるような良い製品ができると思います。

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どんな製品があるんでしょうか?

ベビー用品から、お洋服、下着、寝具、サニタリー用品も作っています。
プリスティンでは、お客さまが「これがないと一日が始まらない/終わらない」というような製品を目指してものづくりをしています。特に下着は、まるで麻薬!肌ざわりがやみつきになって、手放せなくなったと言っていただくことが多いです。シャワーを浴びて、クローゼットを見たときに、ふと必ず手が伸びるのがプリスティンの下着やセーター。寝るときはプリスティンのパジャマじゃないと寝られない。そう言っていただけるような製品を追求しています。

伝えたいのは、「人間の営み」を知ること

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SDGsに対して、どのように考えていますか?

最近SDGsが話題になってきているけれど、モノに命が宿ると考えてモノを大切にする文化は、昔から日本にはあったと思うの。ごはんを残さず食べるとか、モノを大切に使うとか、生き物に優しくするとか、そういった日本の風習は、SDGsにもつながるものだと思う。
昔は、自分が食べるモノや着るモノがどこでどのようにして作られたのか?「人間の営み」というものを、一緒に暮らすおじいちゃんやおばあちゃんに教わったと思うのだけど、今は都会で暮らす人が増えて、人間が生きてきた知恵や自然との関わり方を体感する機会が少なくなってきてしまっているように感じます。もっと根本にある文化や生活を知って、考え直す必要があるのかなと思う。SDGsの項目からたどるのではなくって、逆に日本人の文化をSDGsに当てはめていって、今掲げられているSDGsを超えていくことーBeyond SDGsが大切ですね。

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プリスティンの取組みとSDGsの関わりを教えてください。

このブローチ、実はコットンの残布でできているのよ!とても残布で作ったとは思えないでしょ?「木綿浄土」っていう言葉があるように、木綿を最後の最後まで使い切って神様にしちゃう。こういう風に、ものをいとおしく思って使い切って、命を全うさせることが重要じゃないかなって思うの。
プリスティンの製品を通して、日本人の暮らしや文化がもう一度思い出されたらいいなと思っています。

一人ひとりにできること

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今後の夢や目標を教えてください。

私は昔、オーガニックコットンの生地をもってミラノやニューヨーク、パリの展示会に出展しに行っていた時、多くの作り手さんに助けてもらった。だから作り手、そして作り手さんの作ったオーガニックコットンの生地、製品を大切にし、会社をちゃんと運営することが最大の恩返しかなって思っています。
オーガニックコットンを宣伝し、世界中に広めていくことが私の使命。だから寝ても覚めてもオーガニックコットンの事ばかりを考えていますね。

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私たち若い女性が今からできることはありますか?

自分の生活の中でどれがSDGsの生活の中でカバーされているのか考えてみることだと思います。例えばご飯を残さずきれいに食べること、レジ袋を使用しないことってSDGsのどこに当てはまり、その結果何につながるかを考えてみることが大切なんじゃないかな。また、深夜まで電気のついたビルを見た時に二酸化炭素の排出量が多そうだな、ペットボトルを見てレジ袋より環境破壊してそうなどといった気づきを持つことも重要だと思います。自分の生活を分析して、改善していくことがSDGsに関わっていく1歩になると感じます。今回のSDGsは私たちの生きていたこと、文化、日本をある意味見直す良い機会だなって思います。

それと、若い人たちはSNSなどでも多くの人とつながりを持っていると思います。これはすごいことだと思う。若者ならではのSDGsに対する考え方をぜひ広めてほしいです。未来のために何ができるのか、考えて実行してみてください。

渡邊さんの「オシャレなエコライフ」

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渡邊さんにとって「オシャレなエコライフ」とは?

「ものを大事に、いとおしく思うこと」

ものを大切に思うことが、SDGsにもつながっていくと思うの。ただ流行に迎合するのではなくって、背景を知った上でものを選び、大切にしていくような考え方が広まるといいなと思います。
実は私が今日胸に着けているコサージュは、オーガニックコットンの生地の切れ端で作ったものなの。切れ端でも、こうしてファッションアイテムになるんですよ。日本の若い人たちにも、自分の心から素敵だなと思うものを、愛を持って身に着け続けてほしいなと思います。

Editor's note
ー取材後記ー

  • 松本留奈

    22世紀は私たちにとって遠いことのように感じていましたが、身の回りのことから改善し、それを積み重ねていくことが未来につながると気づかされました。
    新しいことを生み出すことも重要ですが、それだけではなく今あることをリメイクし積み重ねて22世紀につなげていくことも私たちにできること、未来に残せる遺産だと思いました。企業の宣伝を真に受けるのではなく、いろんな形で実践的にSDGsに関わっていくことがとてもきれいな形だと感じました。

  • 横山桃子

    今まで私はSDGsを流行りの言葉と思っていたけど、自分の生活視点でSDGsをとらえることでより身近に感じることが出来ました。ただ他人の言葉をうのみにするのではなく、若者の視点で、伝えるべきことを自分ごととして考えて行動できるインフルエンサーとして活動していきたいです。地に足をつけて、内面の美しさを目指していきたいと思いました。

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