メディアを通して「伝える、変える」

フジテレビCSR推進室

木幡美子さん

2020.4.10

「テレビ番組を通して“今、世の中で何が起きているのか”を知ってもらい、ひとりひとりがSDGsについて考えるきっかけを作りたい。」
そう話すのは元フジテレビアナウンサーで、現在CSR推進室 部長を務める木幡美子さん。テレビが社会課題を解決するためにできることとは。フジテレビのSDGsに関する取り組みや、ご自身の想い・キャリア観を伺いました。

  • 株式会社フジテレビジョン CSR推進室 部長(元アナウンサー)

    木幡美子(こばた・よしこ)さん

    ■内閣府
    男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会

    ■厚生労働省
    厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会等 政府の審議会委員も務めている。

アナウンサーの経験から「伝えるだけでなく、解決したい」

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木幡さんが社会課題に積極的に取り組むようになったきっかけは何ですか?

元々アナウンサーとして働いていて、ニュースを読むことを通して様々な社会問題に触れる機会がありました。環境破壊や児童虐待など、日々ニュースを読むたびに「また同じようなことが繰り返し起きている」と感じることがありました。アナウンサーとして伝えることはできますが、「伝えるだけでなく、問題を解決することはできないのか?」という意識を持ち、アナウンサー職と平行して、記者クラブなどに行き会見を聞いたり、興味を持ったテーマについては関係者を取材したりしていました。

◆アナウンサーとして昼のニュース番組『スピーク』を担当していた木幡さん(右)

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現在はCSR推進室でどのような活動をされているのですか?

2011年に会社の社会貢献を推進するCSR推進室に異動になりました。はじめはアナウンサーを引退するということに多少ショックを受けましたが、CSRの世界に入ってみるととてもやりがいを感じました。仕事の内容としては、メディアが社会的な課題をなくすためにできること、やるべきことは何かを考え、アクションを起こすこと。それはSDGs達成のために世界から求められていることでもあり、自分も関わりたいと思いました。
最近日本でもSDGsというワードがよく聞かれるようになりました。プラスチックストローを廃止したり、紙製のものにするお店が増えてきたり、レジ袋を有料化したりと、少しずつ、いろんな人がSDGs達成のために動き始めています。テレビを通してSDGsにもっと興味を持ってもらいたいという思いから、SDGsをテーマにしたレギュラー番組『フューチャーランナーズ~17の未来~』を企画しました。

テレビ番組でSDGsを広める

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『フューチャーランナーズ~17の未来〜』での取り組みを教えてください。

日本初のSDGsをテーマにしたレギュラー番組『フューチャーランナーズ』。
番組ではSDGsの目標達成のために情熱を持って走り続ける人たちを紹介しています。
SDGsをテーマにした番組を、「レギュラー放送する」ということは国内でも初めての試みでした。前例のないことで壁にぶつかることもありましたが、レギュラー番組の継続実現のために試行錯誤しました。
番組では毎週、SDGsの目標達成のために情熱を持って走り続ける人たちを紹介しています。紹介する方は、企業の方もいれば、NPO法人、教育関係者、学生まで様々です。番組を見てくださる方にSDGsを知ってもらい、興味をもってもらうきっかけをつくるために、見る人を惹きつけるような発信を心がけて番組制作に取り組んでいます。

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番組を多くの方に見てもらうために工夫していることはありますか?

『フューチャーランナーズ』は、全ての放送内容を公式ホームページでご覧いただけるようにしています。またWEBメディア「FNN.jpプライムオンライン」では記事として再編集して掲載、更にBSフジでも放送しています。2019年3月からは英語字幕を付与しています。これはSDGsが掲げている「誰も置き去りにしない」という理念に賛同し、言葉の壁を越えて多くの方に番組を見ていただくためです。

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『フューチャーランナーズ~17の未来〜』への世の中からの反応はどうですか?

多くの反響をいただきました。国連本部で「世界テレビ・デー」に合わせて行われた、テレビ番組や映像コンテンツが社会課題の解決にどう貢献できるかを話し合うイベントで、世界で初めてSDGsをテーマにレギュラー放送した番組として紹介されました。メディアが「番組放送」という本業でSDGsに取り組んでいることを評価していただきました。
また、内閣総理大臣が本部長を務めるSDGs推進本部主催 平成30年度「ジャパンSDGsアワード」において、「パートナーシップ賞(特別賞)」を受賞しました。「ジャパンSDGsアワード」は、SDGsの達成に向け、優れた取り組みを行っている企業・団体等に贈られる賞で、メディアの発信力と創造力を生かして多くの人にアクションを起こすきっかけを提供、SDGsのゴール達成に貢献したとして表彰していただきました。

メディアの役割 ――「伝える、変える」

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フジテレビとしてSDGsの番組を放送する意義はどんなところにありますか?

番組を始めてからSDGsに取り組む様々な組織やプロジェクト団体からもお声がけいただけるようになり、それらの方々と連携してSDGsの発信できるようになりました。パートナーシップを広げることは、SDGsを達成する上でとても重要なことです。
メディアには情報の担い手としての社会的責任があると思います。放送番組の価値を測る指標に「視聴率」がありますが、それとはまた違う指標として「社会的評価」というのも大切だと思っています。

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その他にフジテレビが行っているSDGsに関する取り組みを教えてください。

私自身もアナウンサー時代から取り組んできた活動として、アナウンサーによる出前授業「あなせん」プロジェクトがあります。伝え手であるアナウンサーが子どもたちにコミュニケーションのスキルを教える授業を14年間行っています。他にも教育支援や環境美化活動、被災地復興支援など多岐にわたる社会貢献活動を行っています。
テレビでは画面を通じて皆さんに情報をお届けしていますが、直接顔を見てコミュニケーションをとる「Face to Face」も大切にしています。取材では現地に行って、人と関わり合うことによって情報を得ることができ、その声をテレビを通じて伝えることができます。「Face to Face」の大切さを感じているからこそ、CSRの取り組みでも社会課題の見える現場に直接行って人と関わり、メディアができることを考えて様々な活動に繋げています。

◆小学生に声の出し方を教える永島優美アナウンサー

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SDGs達成のためにメディアが担う役割はどんなことだと思いますか

「発信力を通じた貢献」です。特にテレビ局は、クリエイティブ能力を生かし、見せる・伝える発信力を持っています。その力を生かし、世の中の人々に対して「知るきっかけ」を提供することがメディアの役割のひとつだと思います。
そのためにどう発信すればアクションにつながるのかを常に考えていますし、変えていけるような発信が今、メディアに求められていると思います。

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木幡さんの考えるアナウンサーの役割とは何ですか?

アナウンサーは、取材者や制作者が作り上げてきたものを視聴者に届ける最後のアウトプットの役目を担う仕事です。そのため、自分の経験値に基づいて伝えることができると、よりプラスの価値が生まれます。多くの経験をし、それを言葉に乗せることができるとよりいいですよね。「あなせん」プロジェクトはその意味でも継続していきたいですね。

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今後の目標やビジョンを教えてください!

フジテレビのCSRでは「伝える、変える」をスローガンに掲げています。テレビの強みを生かし、創造力と発信力でSDGsをはじめとする社会課題の解決に努めることを目指し、「伝える」ことで世界を「変える」きっかけづくりができればと願っています。
具体的な目標としては、まずは『フューチャーランナーズ』を番組として継続させることです。さらに、視聴率だけではなく「会社全体で社会課題に取り組んでいる」ということも活動を評価する指標の一つにしていきたいです。

木幡さんの「オシャレなエコライフ」

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木幡さんは女性の社会進出においてもロールモデルとなる存在ですが、これから働く女子大生やキャリアを歩み始めた20代の女性にメッセージをお願いします。

「自分らしく生きる」ことが大切だと思います。自然体でやりたいことにどんどん挑戦し、意見があれば言ってみることも大切です。自分はこの分野と決めすぎず、気持ちの赴くままに何でもやってみよう!と積極的に取り組んでいくことです。そのために「言い続けること、体現すること、目標値を作ること」が大切だと思います。世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあるので、何でも受け入れ、学びの場を大切にしてください。

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木幡さんにとって「オシャレなエコライフ」とは?

「気持ちから行動へ」

躊躇せずにアクションを起こす人は素敵だなと思います。
ちなみに、私は今レジ袋をもらわないようエコバッグを複数個持ち歩いたり、あと外食で食べ残しは絶対にしないと決めています。エコへの取り組みも、働くということにおいても、何か心が動いたらアクションを起こしてみてほしいです。

Editor's note
ー取材後記ー

  • 坪内優佳

    アナウンサーという枠だけにとらわれず、次々と挑戦し社会貢献をしていく木幡さん。自身の本業を生かしてSDGsを広めていく姿勢に感銘を受けました。私たちもそれぞれの個性を伸ばしながら、自分達だからできる発信の仕方を見つけられればと思います!

  • 木脇みなみ

    今回の取材を通し、SDGsの達成におけるメディアの役割を学ぶことができ、アナウンサーを目指す私にとって、とても勉強になりました。
    「行動のきっかけ」を作ることで、社会はもっと良くなるということを信じて、私自身もこれからも発信し続けたいです。

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