2023年9月8日(火)「アニヴェルセル表参道」のリニューアルオープンに伴い、花の専門店・Hanahiroからニューブランドのフラワーショップ、「CQ Décoration by Hanahiro」が誕生しました。なんと日本初上陸のフラワーショップで、SDGsを意識したサステナブルな内装や取り組みがたくさん!今回は、CQ Décoration by Hanahiro アニヴェルセル営業所、統括所長の山口敦子さん、フラワーコーディネーターの細沼和宏さんにSDGsを意識した取り組みや活動にかける思いを伺いました。
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CQ Décoration by Hanahiro 統括所長
山口敦子(やまぐち・あつこ)さん
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CQ Décoration by Hanahiro フラワーコーディネーター
細沼和宏(ほそぬま・かずひろ)さん
サステナブルなお花屋さん
SDGsを意識した活動を始めたきっかけを教えてください。
Hanahiroは創業82年目となり、これからの環境問題や社会的問題、特にフラワーロスを無くすためにはどうしたらよいかと思い始めたのがきっかけです。
撮影などでお花を使用するのは一瞬なのに、ロスとなって捨ててしまうのはもったいないと思い、「reBorn bouquet(リボンブーケ)」旧名スマイルブーケの販売を始めました。
「reBorn bouquet(リボンブーケ)」とは何ですか?
ウェディングやパーティ撮影などの短い期間で役目を終えた廃棄予定の花々をアップサイクルし「reBorn bouquet」として販売しています。安くてボリュームがあってキレイなブーケは、とても人気がありすぐに売り切れてしまいます。挙式や撮影は土日に多く行われます。アニヴェルセル表参道は式場と隣接しているため土日明けの月曜日、丸の内の店舗などは近隣の式場からお花を集めるため火曜日に販売しています。
繊維リサイクルボード「PANECO(パネコ)」について教えてください。
廃棄されてしまう衣服を材料に、強い力で圧縮して作られた、環境配慮型素材です。知り合いのデザイン会社がPANECOを使い始め、たまたま会社を訪れたときに面白いな、何かできないかなと思いました。お花が余ってしまうこと、結婚式場はウェディングドレスなど衣服の面でも破棄がでること、そしてアニヴェルセル表参道がリニューアルするということで、きっかけとして何か始めるのに良いと思い、ドライフラワーをPANECOにデザインして新しい製品を作りました。絶賛拡大中で、販売もしています。
他にSDGsを意識した取り組みはありますか?
ペットボトルから再生した、100%リサイクルのリボンをラッピングに使用しています。カラーはオフホワイト、ゴールド、アニヴェルセル表参道バージンロードの色であるロイヤルブルーの三色です。素材が良く、サテンと変わらない手触りで、通常のリボンより綺麗だというお声もいただきます。文字の大きさにもこだわっています。
また、会社全体の取り組みとして、re Ran(リラン)という活動をしています。受け取った側の廃棄が難しい胡蝶蘭を地域限定で無料回収し、花器やワイヤーを再利用する取り組みです。
4月1日に役職の就任祝いなどで贈られる胡蝶蘭が大量に捨てられているニュースを見てショックだったことがきっかけになりました。
さらに、結婚式で新郎新婦の後ろに飾る枝などは大きくて持ち帰りが難しいため、葉っぱが散った後、たい肥施設や粉砕施設に持っていき、肥料にしています。
そして、売り物にならないお花は、店内に飾ったり、持ち帰って新人の練習に使用したりと、できるだけお花を捨てないようにしています。
「お花を無駄にしない」マインド
SDGsを意識した取り組みにかける想いを教えてください。
山口さん
SDGsについて考えると、何が本当にSDGsなのか、それは偽善なのではないか、とわからなくなってしまうことがあります。そんな中で、自分ができることは「今ここにあるお花を全部使い切る」こと。生産者の方の話を聞くこともあるからこそ、お花を大切にしたいし、お花に関してならば能動的にSDGsな取り組みができるのではないかと思っています。
細沼さん
Hanahiroの代表は「花を捨てない」「捨てるにしても捨て方を」という話をよくしてくれるため、私も花の捨て方を意識しています。持ち帰るにしても限界があるため、それ以外でPANECOなど、形を変えてお花が活かされていることが嬉しいです。今後も他のところで違う形になっていたら嬉しいし、それが増えていけばいいなと思っています。
結婚式場にあるからこそ
アニヴェルセル表参道との繋がりを教えてください。
25年前、アニヴェルセル表参道がオープンした当初からの関わりです。Hanahiroは人とのつながり、ご縁を大事にしています。お客様と接したり、日々の積み重ねで信頼ができていくからこそ、25年間アニヴェルセル表参道の店舗はつながっているのだと思います。お店の前の道、ポルテコ通りを活気あふれる道にするために、アニヴェルセル表参道と共に盛り上げていきます。
「CQ Décoration by Hanahiro」ならではの特徴はありますか?
お花に囲まれながらウェディングの打ち合わせができます。結婚式で使用するお花を選ぶ際に対応できるよう、青、紫、白、など色をたくさん揃えています。また、目利きのお客様も多いので、珍しいお花も揃え、全部で50種類と決めています。そして、Hanahiroのお花は茎も太く、持ち良い、とても上質なお花を揃えていることも特徴です。
トレンドや花嫁さん・花婿さんに人気なお花はありますか?
今のトレンドはテラコッタ系だと思います。ドレスも人気です。
選ぶお花は本当に十人十色ですが、花びらが多いガーベラなどは人気だと思います。また、花言葉でお花をプレゼントするのもオススメです。参列者の方やご両親に対しての想いを込めて、花言葉「感謝」のダリアを贈られる方もいます。
お花屋さんの新しい在り方
今後の展望を教えてください。
細沼さん
表参道の高級なイメージがあるからか、ご年配のお客様が多いです。もっと若い方にも認知してもらえるようにしたいです。そして、こんなにSDGsな活動に取り組んでいるお花屋さんは少ないと思うので、先駆者的な立ち位置で、他のお花屋さんにも広めていきたいと思います。
山口さん
寄り添いやすいお花屋さんになりたいです。親しみ安かったり、お高くない感じで、相談すればなんでも答えてくれるお花屋さんが目標です。そのためには技術が必要なので、今の仕事は後輩育成です。彼らに託そうと思っています。
山口さん、細沼さんのおしゃれなサステナブルライフ
山口さん、細沼さんにとっておしゃれなサステナブルとは?
自給自足だった昔のような生活であったり、タンブラーやマイストローを持ち歩くことなどが思い浮かぶけれど、お花屋さんとしては、お花を無駄にしないことかなと思います。そして、お花と沢山ふれあうことです。朝、歯磨きをするようにお花に水をあげる生活は、空気が綺麗になった気がするし、生き生きとします。お花を触っているといつまでも若々しくいられそうです。
Editor's note
ー取材後記ー
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井上登美
私はここまでSDGsを意識した取り組みを行っているお花屋さんに初めて出会いました。表面的なものではなく、とことん「お花を捨てない」ために活動されてると感じます。その原動力は、お二人のお花への愛情でした。山口さんはインタビューの中で「お花は人と一緒で、愛情が無ければ死んでしまう。毎日水を変えると答えてくれる。その時間が好き。」とお話されていたのが印象的で、こんなに大切にされてきたお花だと思うと、お花を買ったり、もらったりした時はしっかりお水を変えて、最後まで愛情を注いで楽しみたいと思いました。また、「表参道の結婚式場にあるお花屋さん」に対して、格式高い、お高いイメージを抱いていましたが、CQ Décoration by Hanahiroの店員さんは、親しみやすく話しやすい、お花が大好きな方なので、同年代のみんなにもおすすめしようと思います。
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鎌田弥優
私は今回の取材を経て、改めてサステナブルの素晴らしさを感じることができました。世の中でエコなもの、サステナブルなものが話題になっている中、その風潮にただ乗っているのではなく、心の底から「お花を捨てない」というお二人の意思を感じました。山口さんのお話の中で、「お花はピークではなく咲き終わりが可愛い」という言葉がありました。花びらが開き、綺麗に咲き誇ったお花が一番素敵なように思えますが、この言葉を聞いた時に心からお花を愛し、大切にしていることがわかりました。サステナブルなものではなく、お花に対しての愛情がサステナブルに繋がっていて、これこそが今の世の中に求められている真の感情なのではないかと感じました。お花の良い香りに癒されに、素敵な花言葉を添えて友達の誕生日プレゼントに、是非同年代の方達にもCQ Décoration by Hanahiroに立ち寄ってみてほしいです。
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