低糖質で食物繊維たっぷり、良質な植物性たんぱく質が取れて、環境負荷の少ない、夢のような食材があるのを知っていますか?
正解は…「おから」です!しかし、現在食用として利用されているおからは、わずか1%ほど。たくさんのおからが廃棄されてしまっているんです。
今回は、おからを使ったカラダにも環境にもやさしい商品を製造・販売している、株式会社オカラテクノロジズ代表の山内康平さんに、「OKARAT」の誕生秘話や商品にかける想いについてお話を伺いました。
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株式会社オカラテクノロジズ代表
山内康平さん
「OKARAT」とは?
株式会社オカラテクノロジズが提供しているブランド「OKARAT(オカラット)」は、おからを使った、美味しくて健康にも環境にもやさしい食品を展開するブランドです。おからを使ったクッキーやグラノーラ、パンなど、健康のために何かを我慢したり、環境のために何かを諦めたりするのではなく、美味しく食べられて自分にとっても地球にとってもやさしい食体験を提供しています。
おからには、白米と比べて1.5倍のタンパク質量と23倍の食物繊維が含まれていて、しかも糖質量は15分の1。他にも、貧血予防効果のある栄養素モリブデンや、大豆由来のイソフラボンもしっかり取れて、腹持ちもバッチリというスーパーフードなんです!
毎年100億円をかけておからを廃棄?!
たくさんの栄養が含まれているのに、おからは水分量が多く、菌が繁殖しやすいという理由で廃棄されてしまうことが多いんだそう。おからのうち、食用として活用されるのはわずか1%で、企業は毎年100億円かけておからを廃棄しているそうです。
山内さんは、大学時代にフードロスについて研究していたそうですが、食の社会課題について興味を持ったきっかけは何ですか?
明治大学食料環境政策学科に入学して、授業でたまたまフードロスについて触れる機会があり、その時初めて知りましたが、実は当時はほとんど興味がなかったんです。その後、自分自身がボディビル大会に出るほど筋トレにハマったことから健康への意識が高まり、「食を通して人を健康にしたい」と思い、食品商社に就職しました。
そんな中、起業したきっかけを教えてください。
就職先でたくさんのフードロスを目の当たりにしたことです。大学時代にフードロスを学んでいたのにも関わらず、何もできない自分の無力さが歯がゆくて、フードロス削減に貢献できる事業を立ち上げたいと思うようになりました。そしてある日、映画『スティーブ・ジョブズ』を観て、ジョブズの言葉「Connecting the dots(=点をつなぐ)」から、「過去何かに没頭したことはいつか何かにつながる」という考え方を得て、自分の経験から、食の社会課題を解決するために起業しようと決意しました。
なぜおからに着目をしたのでしょうか?
起業を目指すにあたって、当初は全然違うアイデアで、100人以上の起業家の方にプレゼンを行いました。その繋がりで堀江貴文さんにもプレゼンする機会をいただいたのですが、最初は「お前のアイデアは200%失敗する」と言われました。その後も堀江さんにお話を聞きに行ったりプレゼンをしたりして、堀江さんとのやり取りを繰り返すで「おからを使う」というアイデアをいただき、具体的な事業プランを練り上げていきました。
おからを食べられるのは日本だけ?!
なぜ、おからを使った事業を実践しようと思ったのでしょうか?
食品業界で働いていた知見を活かせて、かつフードロスの減少にも貢献できるアイデアだと思ったからです。
実はおからを食べられるのは日本だけなんです。豆腐自体はアメリカや中国でも食べられていますが、平地なので、あまり水がきれいではなくて水道水を飲むことができません。おからの約76%は水で、水が美味しくないとおからも美味しくなくなってしまうので、外国ではおからは全く食べられていないんです。それに対して、日本は盆地で水がきれいなので、美味しいおからができるんですよ。
「まじめに」商品開発
一番人気のある商品は何ですか?
「おからパン」が一番人気です。グルテンフリーなので、カロリーを気にする方や小麦アレルギーや卵アレルギーの方から好評をいただいています。「2年ぶりにパンを食べられた!」などの喜びの声をいただけたときは、とても嬉しいです。
また、「まじめなおからクッキー」という商品は、商社に勤めていたころのお客様の声を反映して作りました。「おからクッキーを食べたいのに、原材料の欄を見ると小麦がたくさん使われていて残念…」という方が多くいらっしゃったんです。だから私たちは、小麦を使わない、「まじめな」おからクッキーを作りました。
商品を開発・販売する中で、苦労はありましたか?
お客様が求めているものと、自分たちが提供するもののすり合わせに苦労しました。例えば、どんなに健康に良い商品を開発しても、その魅力がお客様に伝わらなければ買ってもらえません。「健康に良い=おいしくない」というイメージを持っている方もいらっしゃいます。商品の良さを伝えるにはどうすればいいのか、日々頭を悩ませています。
今後の展望を教えてください。
今年1年のテーマは、「お客様のことをさらに知ること」です。「なんとなく食べたことがあるな」ではなく、「OKARATって美味しいよね!」と言ってもらえるようなブランドになれるように、お客様におからの良さを伝えるために、まずは私たちがお客様の声に耳を傾け、お客様のことを知りたいと思っています。今後2,3年では、コンビニやスーパーマーケットでの商品展開を目標にしています。日本でしかできないおからの事業を、日本だけではなく世界にも広めていきたいです。
山内さんのおしゃれなエシカルライフ
山内さんにとって、「おしゃれなエシカルライフ」とは?
「価値のなかったものを、価値あるものに」
「今は価値のない0カラットのおからを、輝くダイヤモンドに。」というOKARATのブランドメッセージのように、ダイヤモンドのように輝きたい方にはぜひ食べてみてほしいです!
Editor's note
ー取材後記ー
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野辺有桜
私と同じ宮崎出身である山内さんにお話を伺い、地元にフードロス削減のために先頭に立つ起業があることを知り、誇らしい気持ちになりました。また、「思い立ったらすぐに行動に移すこと」の大切さを実感しました。どんなに良いアイデアを思いついても、それを実行しなければ意味がありませんよね。「環境にいいことをしよう!」と思っても、「何をすればいいのか分からない」「難しそう…」という思いからなかなか行動に移せない人も多いと思います。そんなあなたも、まずは身の回りのちょっとしたところから変えてみてはいかがでしょうか。私もOKARATを食べて、美味しく社会貢献したいと思います!
関連リンク
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OKARAT公式ホームページ
https://okarat.jp/