「パケ買い」ならぬ「サステナ買い」へ

株式会社アイスタイル

2022.8.19

2022年6月9日に「@cosmeベストコスメアワード2022 上半期新作ベストコスメ」の発表が行われました。「ベストコスメは必ずチェックする!」「ランクインした商品を買いたい!」という方も多いのではないでしょうか。
そんな中、今回初めて下半期の「トレンド“予測”」を行ったんです。その中には「サステナ買い」や「だれでもコスメ」といった、SDGs関連のキーワードも出てきています。実は最近、美容界でもSDGsが熱いんです。
株式会社アイスタイルでは、コスメの空き容器回収に取り組んだり、SDGsコスメに関する情報発信をしています。今回は、株式会社アイスタイルの皆さんに「コスメトレンドとSDGs」をテーマにお話を伺いました。

  • 株式会社アイスタイル・@cosmeメンズビューティーアドバイザー

    村上宏明(むらかみ・ひろあき)さん

  • 株式会社アイスタイル・@cosme リサーチプランナー

    西原羽衣子(にしはら・ういこ)さん

  • 株式会社アイスタイル・@cosme リサーチプランナー

    原田彩子(はらだ・さいこ)さん

注目の「ネクストトレンド」

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@cosmeで発表している「ネクストトレンド」とはどんなものなのでしょうか?

@cosmeに投稿されたクチコミや@cosme STORE/@cosme TOKYOでの売り上げデータをもとに分析して導き出した「次はこれがくる!」というキーワードのことです。今回、@cosmeでは新たに「@cosmeトレンド予測部」を発足させ、蓄積されたデータから、「@cosmeベストコスメアワード2022下半期トレンド予測」にて、ネクストトレンドを予測しました。

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今回取り上げたネクストトレンドについて教えてください。

今回発表した2022下半期のネクストトレンドキーワードは、次の5つです。

①サステナ買い
使い切れるミニサイズのコスメやエコ仕様の紙パッケージのコスメが続々と登場!

②アンプルスティック
@cosmeの姉妹サイトであり、韓国最大級の化粧品クチコミサイト「GLOWPICK」で話題の持ち運びしやすい棒状の美容液。第2のシカになるかも!?

③リハビリから”リベンジ”へ
現在はコロナ前のメイクに戻るための「リハビリメイク」がトレンドになっていますが、その次は脱マスク&訪日外国人受け入れで「リベンジ消費」が本格化するのでは?

④フリースタイル眉
2人に1人が「流行よりも、自分に似合う形や色」であることを重視していることが分かりました。眉は自分らしさを表現するパーツに進化!

⑤だれでもコスメ
性別や年齢という枠を超えた「だれでも使える」全人類的コスメに支持が集まり広がる!

キーワードは「~を問わない」

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ネクストトレンドに「サステナ買い」や「だれでもコスメ」などSDGsにまつわることを取り上げた理由を教えてください。

ネクストトレンドとは、口コミや店頭で話題になっているものなどのフラットな視点で見られる様々なソースから、トピックスを見つけようとするものです。始めからSDGsに関するものを探そうとしたのではなく、口コミなどを参考にしてトレンドを探った結果SDGsコスメに行きつきました。

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実際にどんな口コミがあったのでしょうか?

特に目立ったのは「肌質を問わない」「年齢を問わない」などの「~を問わない」という表現です。Fujikoから発売されている「全人類コスメ」なども話題になりました。ジェンダーだけではなく、年齢や性別などの垣根を越えたコスメが注目されていると感じました。視点を少し変えてみると、コスメにおいてもSDGsが熱いと言えると思います。

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SDGsに関心がない若い世代にSDGsコスメを購入してもらうためには、どうすればよいと思いますか?

環境への配慮だけではなく、自分へのメリットもあることが重要だと思います。例えば、紙パッケージの製品の場合、エコなだけでなく「分別が楽」といったメリットもあります。また、Diorがリップケースのみを販売して詰め替え可能にしたり、アイラインの「ラブライナー」が詰め替え式になったりしていることで、自分が持っているお気に入りやおしゃれなケースを長く使うことができるようになりました。このような「映え」も若者に興味を持ってもらえるきっかけになると思います。映えや使用感が入口であったとしても、そこからSDGsコスメに興味を持ってくれれば嬉しいです。

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ネクストトレンドに「サステナ買い」や「だれでもコスメ」などを取り上げることによりどんな変化や影響が期待できるのでしょうか?

ネクストトレンドキーワードを発信すること自体今回が初めてなので、正直どんな影響があるのか私たちにとっても未知数です。ですが、SDGsの達成には、メーカー、生活者、メディアなど、皆の力が必要だと思っています。私たちもまだ手探りの状態ではありますが、情報発信や売り場でのコミュニケーションなどを通して、生活者が商品を選択するときの、基準の一つに「環境への配慮」が入ってきたらよいと思っています。

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今回のベストコスメの中で、環境に配慮している商品はありましたか?

正直SDGsを前面に打ち出しているアイテムはあまりなかったんです。しかし、手持ちのアイテムにプラスして使える商品など、すでに持っているアイテムを無駄にしないものが多かった印象があります。また、ミニサイズのアイテムも増えてきました。特にコロナ禍はマスクの影響でメイクをする機会が減り、一つのメイク用品を使い切るのが更に大変になりました。ですがミニサイズだと短期間で使い切ることができるので、「今使っているコスメがまだ使い切れてないけど新しいコスメが欲しい…」という人にぴったりです。「罪悪感を減らす」という別の言葉でSDGsコスメが広がっていくのかもしれませんね。

全ての人がメイクを楽しむ

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最近、SNSでメイクについて発信する男性を目にすることが多くなってきたように思うのですが、メンズコスメや男性の購買の高まりも?

2,3年前に比べると、メンズコスメの市場は上がってきていて、かつ長い息で続いているという印象があります。とはいえ、店舗にいらっしゃるお客さまたちを見ていても、もはやメンズコスメというよりは、性別関係なく「自分に合うもの」を買っている人が多いんです。周りの女性の認識としては、「男性が女性用のコスメを使うってどうなの?」というよりも、「女性のものを男性が使ってもいいじゃないか!」という風潮を感じます。

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そんな風潮がありつつも、コスメ売り場はまだまだ男性が入りにくい雰囲気があると思います。「だれでもコスメ」のような、すべての人がメイクを楽しむという風潮が広がれば「だれでも」の域が増えるのではないでしょうか?

確かにそうですね。最近ではECでの商品が増えてきているので、「店頭で買うのはちょっと勇気がいる…」という男性もコスメを購入しやすくなってきました。また、店員側の配慮も大切です。デパートでコスメを買ったら、店員から自分のではなくプレゼント用かと聞かれたという経験をした男性はまだまだいます。「メイクは女性がするもの」ではなく、「メイクは全ての人が楽しむもの」というように、私たちの認識を少しずつ変えていくことも必要です。

トレンドがないのがトレンド?!

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ネクストトレンドの中の一つに、「フリースタイル眉」というものがありました。眉サロンに行く人が増えてきたり、眉が「自分らしさ」を表現するパーツになってきているのもSDGsの影響があるのでしょうか?

その通りだと思います。私たちの調査では、眉に関しては2人に1人が「流行よりも、自分に似合う形や色」であることを重視していて、若い人ほどトレンドを気にしないという、普通とは逆の結果になったんです。これは私たちにとっても驚きでした。現代は、「こうしなきゃいけない」という枠組みがあることに違和感を抱く人が増えているのかもしれないですね。

容器回収でお得なサンプルをゲット!

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@cosme TOKYOではコスメの空き容器の回収を行なっていますよね。

はい。昨年5月に、容器回収に協力してくれた方にサンプルセットを渡すという取り組みをはじめて行いました。それが好評だったのもあって、今年の春にもALLIEさんと一緒に容器回収の取り組みを実施しました。

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容器回収の反響について教えてください。

よく回収に協力してくださるのは、30~40代の方々です。昔、瓶で化粧品を購入していた世代は、お店に空容器を持っていくということが自然のことなのかも知れません。容器回収は一過性ではなく長期間続けていきたいと思っている取り組みなので、これからは若い世代の方にももっと参加していただけるようにしていきたいですね。

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今後の活動やビジョンについて教えてください。

SDGsに関する取り組みは今後も行っていきます。
SDGsをテーマにしたインスタライブなどを行うと、「ブランドがこんな取り組みをしているなんて知らなかった」といったお声もいただくので、継続した情報発信が重要だなと感じています。

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株式会社アイスタイルさん(@cosmeさん)にとってオシャレなエコライフとは?

全ての人がメイクを楽しめる世界の「共創」
アットコスメはブランドと生活者の出合いをつくることをミッションとしていますので、、様々なブランドの方々と共にサステナビリティを盛り上げていきたいです。

Editor's note
ー取材後記ー

  • 野辺有桜

    美容界では、環境に配慮した商品だけではなく、「自分らしさ」という観点でもSDGsが広がってきているのだということを初めて知りました。私も「フリースタイル眉」で、流行にとらわれない、自分に似合う形を探したいです。そして眉だけではなく、全ての人が、流行や固定概念にとらわれずにメイクを楽しめる世界になったら素敵だなと思います。

  • 土屋奈々

    私自身も日常的に使っているコスメが実は「だれでもコスメ」だったり、気づかない間に「サステナ買い」をしていたりすることに気づき、驚きました。自分自身がちょっとお得になったり、楽できたり…それが自然とサステナブルやSDGsに繋がっている、という商品がたくさん増え、今回ご紹介した「ネクストトレンド」ではなく「トレンド」になってほしいなと感じました。

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